共有名義の不動産はトラブルが大きなもので、中でもいちばん問題となるのが不動産の売却です。
共有名義の不動産にトラブルが生じて売却をすることもたくさん報告されている一方で一方で、他の共有者に勝手に持分を売却されてしまったために、今度は買取業者との間でトラブルに陥ったというケースもあります。
私は相続した父の名義のままの実家の共有持分を業者に買い取ってもらい、むしろそれまでのトラブルが解決したというケースに当たります。
このブログでは共有持分の売買とトラブルついて、持分の所有者の目線からお知らせしていきます。
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共有持分の売却とトラブル
共有持分の売却のトラブルというと、おおまかにいって、共有名義の不動産を所有している時のトラブル、売却時のトラブル、他の共有者に共有持分を売却された場合のトラブルの3つが考えられます。
- 共有名義の不動産の共有者同士のトラブル
- 共有名義の不動産の売却時・売却後に心配されるトラブル
- 他の共有者が売却後のトラブル
この記事では主に共有名義の不動産の共有者同士のトラブルと売却時に考えられるトラブルを検討します。
※売却をする方が売却後にどうなるのかのトラブルを心配する場合だけについて読みたい時は下の記事にあります。
※他の共有者が勝手に不動産を売却してしまった対処法は下の記事に
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共有持分の売却に至るトラブル
共有名義の不動産を所有していると、売却をしようと思っても売れないというのが、共有名義の不動産の最大の問題です。
売却の理由が単に共有持分を現金化したい場合もありますが、いちばん多いのは、相続でのトラブルでしょう。
その場合の売却の目的は、相続した不動産の共有持分に当たる部分を現金化して受け取りたいというものですが、共有者が応じなかったり不動産を占有しており、現金での売却に応じないでいるという場合です。
その場合の事例をいくつか見てみましょう。
共有持分のトラブル事例【相続】
相続人は3人の兄弟だが実家を長男が占有、売却して分けるか、持分を買い取るか持ちかけても拒否する一方で話し合いがつかず、⺟が亡くなった後も相続登記ができない。共有物分割請求の訴訟も検討したが、疎遠なので、交渉をしたり相手の意向を聞いたりしたくない。
共有持分のトラブル事例【離婚】
離婚した夫と家が共有名義になっており、妻の私が転居した後も持分の買取に応じない。全体を売却するのはもとよりできず、話し合いにも応じなくなった。DVが離婚理由なのでできれば一切接触をせずに売却したい
共有持分のトラブル事例【親族で共有】
義母と相続後の分譲マンションを共有持分として所有。転居後は一人で義母が居住しており、マンションを保有していても資産性がなく、活用もできないため、自分の持分5分の1を母に買い取ってもらうよう交渉したが同意してもらえない。築40年近いマンションなので売却できるうちに現金化したい
共有者の兄弟が高齢であるため、売却して利益を得たいとか活用したいとかよりも二次相続が心配。実家は大きな古民家をリフォームした家なので解体も費用がかかる。また、家がへき地の山間部にあるため、価格はただでもよいのでできるだけ早く手放したい。
これらの所有者の解決は、共有物分割請求の裁判か、自分の持分だけを売却する共有持分の売却で持分を手放すことができます。
共有持分の売却までのトラブル
共有持分の売却という方法は最近では広く知られるようになりました。
それに伴ってネット上には共有持分の売買は避けるべきという意見もみられます。
共有持分の売却にもいろいろな事例があり、共有者が他の所有者に一言もなしに持分売却に至るケースもあります。
最後の選択肢としての共有持分の売却
もちろん共有持分を相談なく売却するという売り方は避けるべきでしょう。
ただし、共有持分の売却というのは普通の不動産の売買とは違い、所有者が悩んだ末に消去法で最終的に残った方法が持分売却であるというケースがほとんどです。
売買でのトラブル云々というよりも前に、まずその状況に至るまでが、売り主がトラブルの渦中にある事が多いのが共有持分の売買の特徴と言えます。
共有持分を売却する理由
持分売却に至る不動産は、たいていは相続人同士で話が合わないか、離婚した時などの所有者同士のトラブルが前提です。
共有持分の売却で多い事例は、特に下の2つです。
- 相続で話が合わず売却ができない
- 離婚で共有持分の利益が受け取れない
その時点で共有者同士で話し合いで話がつかない、話や相談がもできないような状態に陥っているので、共有持分の売却という選択肢で解決しようというのが売却の目的です。
持分売却はまるまる一個の不動産を売るよりも安くなるのが常識ですので、共有者がいきなり業者に売ろうということは通常はありえません。
持分売却をしたからいきなりトラブルが発生したのではなくて、それ以前から共有者同士で利害関係が一致しない状況がまずがあって、持分売却に至るというのが本当のところだと思います。
共有不動産のトラブル解決法
基本的に共有不動産の問題の解決は持分の売却か、共有物分割請求のどちらかしかありません。
- 共有持分の売却
- 共有物分割請求の訴訟
- 共有持分の買取請求
共有持分の売却は、共有者の一人が、自分の持分を第三者である不動産会社に売却するという方法です。
これは他の共有者の同意がなくても売れるため、他の共有者にしてみれば「勝手に」売却されたという事態に陥ります。
共有物分割請求
もう一つ、裁判所に問題の解決を訴える訴訟が共有物分割請求と呼ばれるものです。
たいていはもう一方が他方の持分を買い取るか、もしくは全体を売って売却代金を分割するかどちらかの方法によって、共有物を分割します。
これらのどちらの方法をとるにしろ、共有物となっている共有名義の不動産は、相手にお金を払って全部を自分のものとするか、もしくは売却後の現金で分割するかのどちらかとなります。
共有持分の買取請求
他にも、共有者同士の話し合いで、一人の共有者に自分の持分を買ってもらうという方法もあります。
共有不動産の共有状態の解消には、共有者同士の売買は通常行われる良い解決方法です。
しかし、相続も離婚の場合でも、いったん話し合いで揉めてしまうと相手にお金を支払うことや、売却をしぶる共有者が大半です。
2者間の話し合いでは月日が経っても解決せず、実際に残る方法は、持分売却か訴訟の2つのみとなるケースが多いのです
共有持分の売却が招くトラブル
ネット上で、共有持分の売却がトラブルを招くと書いているのは、素人ではなくほとんど全部が不動産業者、または弁護士などです。
彼らがあげているのは、買取業者とのトラブルの例ですが、それらについても検討してみましょう。
多くの不動産業者があげているのは、
- 勝手に売却すると他の共有者と禍根が残る
- 共有物分割請求をされてしまう
という2つです。
まず、これについて検討してみます
「他の共有者と禍根が残る」
共有持分を売却したから禍根が残る事が考えられる場合には、持分を売らなければいいのです。
そのまま共有状態を続ければいいわけですが、そうできないので何らかの手立てを考えようという人がほとんどです。
上記の不動産サイトの書いていることは、持分売却に至るまでの所有者の実情に即した意見ではありません。
持分買取請求をする
それでも、いきなり持分売却に至る前にまず、共有者にこちらの持分を買い取ってくださいという買取請求をしてみましょう。
共有者に買い取ってもらえない場合は「業者に持分を売却したい」といって、その上で金額を交渉すればいいのです。
それで話がつかないときは、実際に持分売却に切り替えるか、訴訟を起こすという手順を取りましょう。
共有物分割請求をされてしまう
「共有物分割請求をされてしまう」と書いているのは、これも同じ大手不動産会社のサイト上の記載です。
共有物分割請求は裁判所で行う訴訟の一種ですので、これは買取業者が、他の共有者の売却により持分の一部分を買い取ってから後の話で、そもそも「されてしまう」というのは変な話です。
そもそも起こすかどうかは未来のことで予測ができないことですので、「されてしまうから」といっていたら、すべての持分を有する不動産は売れないことになってしまいます。
共有持分の権利
共有持分はこちらにとっても権利なので、このような助言は権利の侵害に近い無益な助言といえます。
上のように聞いてしまうと、たいていの所有者はしり込みしてしまいます。
しかし、不動産はあくまで自分の財産であり持ちものであり、自分の判断で持分の売却は行ってよいのです。
相手の利益だけを考えるなら、その不動産を所有することにデメリットが生じても売らずに共有状態を続ける他はありません。
逆に相手がこちらのことを考えてくれているのなら、共同で不動産を売却するか、代償金を支払って持分を買取するかのどちらかをしてくれているはずです。
このような共有状態で、利益の享受が均等に図られているかどうかは言うまでもありません。
共有物分割請求が有益な場合
共有物分割請求については、上に上げたように、共有状態の解消をしてその持分を売って不動産を手放すには、持分売却か裁判かのどちらかしかないのです。
話がつかないために共有物分割請求を起こそうと思った私自身に変わって、買取業者が同じ共有物分割請求を起こすということです。
むしろ、共有物分割請求は、買取業者との売買の場合はおすすめしたい方法です。
共有物分割請求は裁判所での採択を得ますので、裁判所の判断で持分を売却する、もしくは残りの持分を適正価格で買い取るということができるからです。
万が一、買取業者の提供する買取額が安いなど疑問を感じたときにも、同じ訴訟は自分の判断で起こすことができます。
裁判は自分の権利を守るためにすることです。
「されてしまう」のが一概に悪いことではないのですが、裁判や持分売却が嫌ならできるだけ共有者どうしの話し合いで解決を図りましょう。
共有持分を売却したらどうなる?【体験談】
うちの場合は、家が欠陥住宅、持分なし私道、表題登記未登記というのがわかった時点で弟が費用負担と責任を恐れて連絡を絶ってしまいました。
家と土地は亡くなった父名義のままでしたが、この場合は相続登記をしない状態であっても、その土地家屋は弟と私の実質的な共有名義と同じことになります。
私が相続登記ののちに売却をしようとしても、相続人である弟の捺印がなければ、土地の売却はできません。
ちなみに、この弟は未婚の上高額の所得を得ており、金銭的にはまったく不自由はありませんでした。
また、東京に住んでおり、父の生存中もとにかく数十年に1度帰省をしたきりですので、田舎の家は弟は全く不要でした。
たぶん、今にして思うと父弟には若干の障害があったと思われ、母が連絡しようとしてもできない状態になってしまいました。
結局私が自分の持ち分を売却、その後業者は弟に連絡がつき、数か月後には弟も自分の持ち分を売却しました。
その後弟が再び連絡をしてくるようになったのは、問題の種であった不動産が売却してなくなってしばらくしてからです。
うちの場合は、弟側の要因でトラブルが起きたということは間違いありませんが、世の中にはこのような事例もあるのです。
裁判だけが〇であり、持分売却はもめる恐れがあるからダメというのが実情に即した意見とはいえないのは当家の例を見ればわかると思います。
特に相手が音信不通を意思的に続けているという場合には、共有物分割請求でも相手が出席して来ない可能性が高いです。
その場合は該当不動産は競売になってしまうので、その場合は持分売却の方が費用がかかりません。
また、実家の場合は住宅の欠陥など他にも問題を抱えており、空き家率も18%と当時日本でも高い地域で、地価は実質坪5万くらい、それでも売れないという地域でしたので、それらの条件を考えても持分売却は最も適した方法でした。
それは相談に行った弁護士の先生がすすめてくれたとおりです。
共有持分の売却で新たなトラブルを避けるには
共有持分の売却に至る前、既にトラブルが生じている例が多いということを述べました。
共有持分を売ろうとするときに、売却の時になってもできるだけもめないようにするにはどうしたらいいかというと、それは業者を選ぶことです。
持分買取業者を選ぶ
幸い私がインターネットで出会った業者は、裏表がなくたいへん印象の良い人でした。
買取に当たった業者は次には私の弟の方に話を持って行って交渉となるはずでしたので、私はこの担当者であれば上手に話をすすめてくれるに違いないと確信したのです。
というのは、同じ物件で同じ時期にもう一社査定をして比較をすることになったのですが、別な会社の担当者は買取価格もはっきり言わないし、「こんな家ですから」などと物件をやや見下した言い方をして安く買おうという腹が見えるところがありました。
一方で、売却を決めた方の担当者からは一切不愉快な発言を聞いたことはありませんでしたので、弟との交渉もうまくいくだろうと安心できるところがありました。
買取業者に情報を伝える
また、自分の方は共有持分を売却する理由と弟についても、対外的にはおとなしい性格であり交渉は難しくないこと、間違いなく「売却を希望する」ということをあらかじめ伝えました。
その後弟とどのようなやり取りがあったのかはわかりませんが、陶器で確認するにそのあとすぐ売却が成立したところから考えると交渉は難しくなく売却が成立したと思われます。
そして、実家には一切背を向けていた弟も、実家の相続分をきちんと受け取れたのです。
たとえば、私が全てを独り占めして実家を勝手につかうというよりははるかによい結果ではないでしょうか。
共有持分の売却は同じようにお困りの方には、ぜひおすすめしたい方法です。
元々のトラブルは売却にあるのではなくて、不動産を共有することの方に原因があります。
ぜひ持分売却で不動産の悩みに終止符を打ってください。
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