共有持分とは共有名義の不動産の、それぞれの共有者の所有権の権利の割合のことをいいます。
共有名義の不動産でも、業者買取であれば、自分の持分だけを簡単に売却することができます。
共有名義の不動産の自分の持分だけを売却するとはどういうことなのか、共有持分の売却について実際の体験からご説明します。
共有持分とは
一つの土地や家などの不動産を誰かと共同で所有しているときの不動産は、不動産の名義に人が1人ではなく、複数の共有名義になっています。
その共有名義の不動産のそれぞれの持分のことを言うのが、共有持分と呼ばれるものです。
持分とはつまり、土地や建物の不動産の所有の権利の割合を表すものです。
実家の相続で、相続人が子供3人なら、相続分はそれぞれ3分の1ずつだと言えばわかりやすいでしょう。
相続したのが実家の家土地であればそれと同じように、法律で定められた共有持分は3分の1ずつということになります。
これがどのように売却ができるのか、持分売却について詳しく見ていきましょう。
なおこの記事は、空き家と共有持分などの訳あり物件の買取で日本全国より年間5千件以上の問い合わせがあるアルバリンク社の代表者、河田憲二氏に監修をしていただきました。
この記事の監修者
監修者:河田憲二(株式会社AlbaLink 代表取締役)
「全国の空き家ゼロに」を掲げ、空き家や訳あり物件に特化した買取業者(株式会社AlbaLink)を営む。
同社が運営しているサービスサイトである「訳あり物件買取プロ」の運営責任者も務めています。同社は東京証券取引所の東京プロマーケット市場に上場している。(証券コード:5537)
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共有持分の割合
一つの不動産を共有する場合、単純に「2人で共有」という記載をするのではなくて、記載の際は各人の持分を数字で表します。
たとえば、相続で一つの土地、家やマンションなどを2人で相続した場合の法定相続分だと、2人の場合がそれぞれ2分の1、3人で相続した場合は3分の1です。
分数表記をせずに「○分の○」とするのが正式な書き方です。
共有持分の表記
所有者
〇田〇夫 持分2分の1
○田〇子 持分2分の1
所有者として全部を持つなら署名だけか、もしくは「1分の1」として記すことがあります。
登記を含め法務局などに提出する書類はすべて上の書き方で記されます。
これは表題登記を自分で行った経験から、法務局の係官に実際に教えていただきました。
不動産の共有持分
共有持分は、土地は土地、家屋は家屋それぞれの持分として別々に表されます。
このときの考え方の注意として、共有持分というのは土地それ自体の半分とか、どこからどこまでの決められた一部分とかの意味ではありません。
権利の割合なので、実際の土地や建物を半分だけ使用できるとか、半分もらえるということではありません。
逆に、私道の持分などの場合は所有する持分が10分の1でも、その道路の端っこだけではなく全体を通行したり利用したりできます。
権利の数字は〇分の1の表記であっても、全体を使用することが可能です。
共有名義の不動産の問題点
共有者が両方とも全体を使用している場合は問題がなくても、不動産を実際に分けようとなった場合には、問題が生じます。
たとえば、家屋について考えてみると半分ずつにできないことはよくわかると思います。
土地などは半分にできそうな気もしますが、一つの土地の「どこからどこまで」と言ったことではなく、あくまで土地の分筆が必要になります。
つまり、まったく別々の土地として2つの土地にした後のことで一つの土地を共有して半分にするということはあり得ないのです。
持ち分の意味はあくまで各人が「全体に対する権利を半分ずつ持ちますよ」ということで、けっして実物の割合ではないということを知っておいてください。
共有名義と共有持分
数字が大きくても少なくても、一つの土地の持分を2分の1、または10分の1であっても持分を所有しているという場合は、その土地の所有者であることは間違いありません。
数字の大きい持分を所有する人は、土地について決める権利も多く有しますし、売却をしたときも持ち分に応じた金額で受け取ることができます。
同意が必要な共有持分
ただし、「〇番地○○」という一つの土地の場合は分筆をしない限りは、共同で所有していたとしても一続きのものであることは変りません。
なので、割合分が大きくとも、勝手に土地を売ろうとしてもできませんし、人に貸すこともできません。
売却や賃借の場合は、持分を所有する他の所有者全員の同意が必要になります。
これによって各人の権利は守られますが、逆にそれが共有名義の不動産の問題点でもあるのです。
共有持分は売却できる
共有持分はそのように実体のないものであるにもかかわらず、売買ができます。
つまり持分を売ってお金を受け取るという通常の不動産と同じように売買するという意味です。
不動産に直結していても実体のあるものではない権利を売買できるというのは不思議な話ですが、売買となると共有持分は普通の不動産のように売買ができます。
不動産を売る売却の他、誰かにその不動産を譲る譲渡の場合でも同じようにできます。
この点はもちろん法律でも保証されており、共有持分の売買自体はけっして危ないあやしい方法ではありません。
私は弁護士の先生にすすめられたので、安心して持分の売却を決められたのです。
共有持分の売買
欲しいという人がいれば共有持分はいつでも売却ができるのは間違いありませんが、土地や建物の持分のみが売れるとはいえ、実際には普通の人で持分を買いたいという人はいないでしょう
持分が半分だけや3分の1だけの物件を買っても、他の所有者の承諾なしには建物を建てられないし、建物を勝手に壊すこともできないからです。
なので共有持分の売買はあくまで下の2つの場合に限られます。
1.共有者同士での持分の売買
2.共有持分の買取業者への売却
上の2つを解説します。
共有者同士での持分の買取
一番の共有者同士での買取というのは、次のような場合です。
共有持分の買取例1 兄弟で相続
実家の土地をとりあえず相続人全員が共有名義として相続登記をした。
共同で使用することも考えられたが、弟2人が自分の相続分をそれぞれ兄に売却。自分の権利分の代償金を受け取った上、移転登記をして兄一人が単独の名義人となった。
共有持分の買取例2 離婚した夫婦
夫婦二人で結婚後に協力し合って購入したマンション、それぞれ持分1/2の共有名義で登記。
後に離婚をすることとなったので、家に残る夫に妻が自分の持分の買い取りを要求。代償金を受け取ってマンションは夫が単独の名義人となった。
共有持分の買取例3 相続
きょうだい2人で遺産分割協議で話し合いった不動産、遺言書はなかったため法定相続分はそれぞれ1/2として合意。
兄の持分を弟が代償金を支払って買い取る形で共有名義にはせず、弟の名義に相続登記をした。
共有持分の買取請求
上の3つの例はいずれも共有名義にした不動産を共有者同士の話し合いで単独名義とした例です。
※共有者に自分の持分の買取を要求することを「買取請求」といいます。
共有者同士の買取についての他の例は下の記事に
関連記事:
共有持分の買取請求 共有者への交渉が進まない場合
共有物分割請求の訴訟
共有者同士で持分買取の話し合いがつかない場合は、共有物分割請求という訴訟がありますが、ケースによっては持分売却の方が適しています。
私の場合がそうで、弁護士に相談に行ったところで持分売却の方がいいだろうということになりました。
訴訟には弁護士費用と日数がかかるので、それを上回る不動産であれば訴訟がおすすめですが、そうでない場合は共有持分を第三者に買い取ってもらう方法があります。
上に書いたように、普通の人で持分を買い取っても土地が使えるわけでなければどうしようもないので、買取は専門の業者に限ります。
それが共有持分の買取業者と呼ばれる不動産会社です。
共有持分の買取業者への売却
共有持分買取業者とは、「共有持分の買取」を専門的に行っている不動産業者を指します。
共有持分の第三者との売買という時は、ほとんどが買取業者に買い取ってもらう形の売却となります。
「買取」は業者側から見た言葉となるので、なのでこの場合の買取と売却は、持ち分の所有者が業者に持分を売却して対価を受け取るという同じ意味です。
共有持分の売買といっても、売主側からは通常の不動産の売買契約と変わるところはありません。
共有持分の買取の流れ
私が経験した買取の流れと、必要な日数は次のようになります。
物件の査定をインターネットから依頼
↓ 依頼から数日後
業者が現地調査で物件を見に来る
↓ 調査の翌日
電話で査定結果と買取の可否
↓ こちらの用意が出来次第
売買契約と登記に必要な書類(住民票や土地の書類など)を郵送
↓ 書類の確認後すぐ
司法書士同席で売買契約及び代金受け取り
↓ 法務局内で約3週間
登記完了の知らせ
共有持分に限らず、不動産の買取は仲介で買いたい人が現れるのを待つ不動産売却とは違って、業者が買う相手となるためたいへんスピーディーに行われます。
共有持分を買い取った後は
業者は共有持分を買い取った後は、他の共有者に連絡、同じように買取をして、一つの土地として単独名義で登記をします。
家をリフォーム後に販売したり、賃貸住宅として活用する他、土地のみでも同じように販売、活用がされることとなります。
共有持分の買取の相場
共有持分の相場についていうと、全体ではなく半分、または3分の1というように切り売りされる持分売却は、通常の不動産よりは価格が落ちます。
共有持分の買取の相場については会社によって違い「相場相当」と記している場合もありますが、おおむね5割が相場ということです。
安くなる理由は、以下のような部分に経費がかかるためです。
- 交渉に手間や時間がかかる
- 登記費用が倍
- 共有物分割請求の費用
共有持分の業者買取の経費
その理由は、他の共有者との交渉がスムーズにいかなかった時には、共有物分割請求という裁判所を通した手続きにして、裁判所の決定の元、所有を決めることになるのでその分の弁護士と裁判費用がかかります。
また、それらの準備に日数がかかるため、固定資産税や土地の維持費などがかかることも想定されますし、もちろん他の共有者との交渉に手間もかかることになります。
ちなみに、通常の空き家の買取の場合の相場は7割と言われています。
うちは夫の実家も買取で売却しましたが、コストの掛かる持分の買取がとりわけ安いというわけではないように思えます。
自分で裁判費用を負担するとしたら、自分でも費用がかかるのは同じだからです。
※詳しい解説記事は
共有持分の買取の相場はどのくらい?体験者が解説
通常の不動産売買の価格も調べておこう
共有持分の相場を考える前に、もっと大切なのは通常の不動産の相場です。
地方は思ったよりも土地の価格が下がっていることがあり、買った時の価格で売れるところなどは一部を除いてまず見られないでしょう。
また、評価額はそれなりの数字となっていても、実際には取引が減少、結局売れないので価格が下げて売られているというところもあります。
地価や不動産相場を知らないと、最初から共有持分の価格だけを見ても、査定の価格が安いのか高いのかの基準がわかりにくくなってしまいます。
お手持ちの不動産の通常の価格が今いくらくらいなのかを調べておき、その上で共有持分の価格の妥当性を見る目安にしてください。
家の築年が古い場合は解体費も
また、家の築年が古いと持分売却に限らず更地で買い取るという場合、解体費を差し引いて売るのが普通です。
築20年を過ぎれば家の資産価値は0円です。
それ以上になると築年によっては解体の費用、少なくても150~200万円がマイナス分となります。
なので、共有持分の相場を考える前に、不動産価格を不当に高く見積もらないことです。
共有持分の買取価格
共有持分の買取というのは、あくまで特殊な状況や条件下での不動産の売買です。
なので相場や価格といっても、持分買取の価格と、通常の不動産の買取と比べるものではありません。
「普通の不動産だったら」という仮定を加えると、持分売却とはかけ離れた話になってしまいます。
あくまで共有持分の相場内で高い安いの比較として考えることが大切です。
共有持分の買取に適したケース
共有持分の買取を依頼するのがおすすめのケースは下のような場合です。
持分売却のメリットは下のようなケースの場合、最も有効にはたらきます。
- 共有者が音信不通などで相続登記ができない
- 共有者が協力せず話し合いが進まない
- 売れない地域にある不動産で価格が安い
- 共有持分を放棄したい場合
共有者が音信不通
共有者が音信不通だったり行方不明の場合は、相続そのものが成り立ちません。
このような場合は、共有持分の買取を依頼すれば解決します。
共有者が協力せず話し合いが進まない
相手が協力をしない、非協力的な場合も同様です。
このような不動産はいつまでたっても売れませんので、持分売却が売却の唯一の方法となります。
■価格が安い不動産の共有持分
元々不動産価格が安い物件の場合は、元々買取が適しており、低価格の物件の場合は売却益よりも、共有名義の不動産を手放すことにが目的の場合があります。
このようなケースも持ち分売却で、不動産の共有や所有から逃れられます。
逆に不動産価格が高い場合には、裁判費用をかけても戻ってきますので、その場合は共有物分割請求の方をおすすめします。
共有持分の放棄
共有持分を放棄したい場合は、これも共有者の同意を得て全体を売却するか、又は共有者に買取請求をして同意を得ることが必要です。
できない場合は、持分売却が実質的な放棄と同じように共有者から外れることで解決します。
共有持分の処分
通常の不動産なら国や民間の引き取りも利用できますが、共有持分の場合は有料処分はまず利用できないと思います。
そもそも、不動産の処分は第三者に登記を移転する以外ありません。
その場合の方法はやはり売却、または譲渡ということになりますので、買取業者に売却するのが唯一の方法となります。
共有持分の買取のメリット
共有持分の買取のメリットはこれまで上げた通り下のようにまとめられます。
・共有者の同意がなくても現金で受け取れる
・共有状態が解消される
・今後の費用負担が避けられる
・共有持分の相続の問題が避けられる
放置するほかはない共有不動産を現金化できること。
さらには共有状態で起こるリスクを回避できるということが一番のポイントです。
※詳しい解説記事は
共有持分の買取のメリット
共有持分の買取のデメリット
対して、共有持分の買取のデメリットは、というと、特にありませんが、あえて言うのなら下の点に集約されます。
・持分のみを売るよりも共有者と話し合いの上売却をした方が高く売れる
そもそもこれが成り立たない場合は持分売却の一択となるため、あまり意味がありません。
その場合にいえることは
・価格の高い物件の場合には共有物分割請求の方が良い
ということです。
共有者とのトラブルのデメリット
持分を売却をすることで共有者とのトラブルの心配をする方もおられます。
最近だとよく、共有持分の買取について持分業者ではない不動産会社などが、デメリットとして勝手に売ると恨まれたり、共有物分割請求になると書いているためです。
しかし、共有持分の買取を依頼する人の実情はこれだけではありません。
持分売却前のトラブル
共有持分の買取を依頼する前に既にトラブルになっているということの方が多いです。
なので、上のような理屈は、後々トラブルになるから離婚訴訟はしない方がいいというのと同じです。
その通りにしていたらいつになっても離婚できないのと同じで、土地が売れないことになってしまいます。
共有物分割請求のデメリット
仮に、持分売却に変わるのは裁判である共有物分割請求ですが、裁判所で裁判官から判決が下されたとしても、望むような結果になるとは限りません。
結論は出ますが、あくまで双方の話し合いの延長ですので、相手が主張することも入ってくるからです。
また、裁判で公平な結果が出たとしても、共有者に感謝はされませんし、心理的な意味でのトラブルが解決するとは限りません。
共有名義の不動産の相続問題
そして、共有名義の不動産の問題は、相続にも及ぶため自分一人で終わる問題ではありません。
共有者が亡くなってからでは、相続がますます複雑になりさらに解決が難しくなります。
共有名義の問題は裁判かまたは持分売却で、共有者の存命中に解決をしなければいけないのです。
再度言うと、共有物分割請求は通常は業者が起こすより前に共有者同士の間で相手に対して対して起こす裁判所の裁定を仰ぐ訴訟ですので、訴訟も必要な時には利用すべきです。
そして、訴訟をしても訴訟費用を上回るほどの利益にならない土地であれば、共有持分の買取は最後に残された唯一の方法なのです。
共有持分の買取業者について
持分売却は、持分を手放したい人が業者に売却をするという方法です。
共有持分の不動産会社と買取業者について説明します。
共有持分の買取の目的
買取業者が不動産を買う場合には本人がそこに住むためではありませんので、再販のための売買となります。
空き家を買い取った業者が、リフォームをして希望者に売るというのと同じように、そのままでは使えない不完全な不動産の持ち分を買い取って、単独名義の不動産として売買をするというのが業者の目的です。
したがって、共有持分を買取するのは、専門の買取業者と言われる業者、または会社だけとなります。
なぜ業者なら買うのかというと、法律的な面を含めて買った後のノウハウを心得ているからです。
共有持分の買取業者の探し方
共有持分の買取業者の見つけ方はこれまでのように不動産店を探すように電話帳で見るなどではなくて、ネットで探すのが効率が良く、安心できる業者に出会えます。
共有持分の買取業者は地方ではほとんど見られません。
都市部に本店を置いて、さらに各地に支店があり、全国対応するというところがほとんどです。
なので、全国対応の業者なら、どこからでもどの業者に依頼しようとしても取り扱ってもらえます。
共有持分の業者は遠方でも対応
ここでお知らせしておきたいのは、売りたい不動産のある同じ県に事務所を構える会社だけではなく、他県など遠方と思われる業者でも、買取も査定も可能だということです。
そもそも共有持分の買取は数が少ないため、持分の買取業者は有名なところは全国対応です。
今インターネットの普及で取り扱いエリアが広くなっており、業者は遠方でもいとわず対応しますので、こちらからみて「遠いのでは?」との心配はありません。
逆に、遠くてもまったく遠慮はいらないのでまずは相談してみてください。もちろんここでご紹介する会社は査定、出張費共に無料です。
共有持分の買取業者のおすすめ
共有持分の会社については、選ぶときのポイントは法律的な手続きに強く、弁護士はもちろんのこと、司法書士他とも連携が取れている会社がおすすめです。
私自身は持ち分売却の際、司法書士も土地家屋調査士も自分で探さなくてはならず、表題登記も自分で行ったのでとても大変でした。
以下の不動産会社は共有持分の買取が専門、苦労なく売却できると思います。